仕事先の方とひょんなことから、「深田さん、ご両親がお元気なうちに孝行してあげてくださいね」という会話になり、
「私が活躍しているのが親孝行だと信じています」
と、あつかましく応えてしまいました。
※しかも。活躍してないし。
父親はどう思っているかは知らないけれど、少なくとも母親は私が大阪で就職するといえばがっかりすると思う。
母さんがいつも言うのは、「生きてるのか死んでるのか分からないから、メールの返事くらいしろ!」というくらいで、就職しろとか、結婚しろとか、面倒くさいことは言わないかな。
親孝行は難しい。
母さんが喜ぶかな~って思って何かを買ってきてプレゼントしても喜ばないけれど、ホテルのバイキングでティーバッグとか小さいジャムを失敬してくると大喜びする。毎年海外旅行をプレゼントしたくらいでは、屁の河童な女王様ですが、何で喜ぶかというツボが民間の私にはよく分からないのです。
就職したら喜ぶかと思えば、「鶏頭なるとも、牛尾になるな!」とお叱りを受けることもあり、弱い者いじめされて丸く治めるために黙って負けて帰ると「一言も言い返さなかったのか!情けない!」と怒られる。兄と妹を見ては、「いつまでも他人に使われて情けない!!」と言い、自分のビジネスで生計を立てるよりは、雇われのほうがよっぽど楽なのにと心の底で思う深田です。(たとえ給料が少なくとも、来月の収入がいくらか予測がつくからね。だからといって、しばらく勤めませんが)
親孝行は難しい。
何の挑戦もせずに、粛々と生きれば母親はがっかりするだろう。
でも、やりたいことに挑戦するのは、疲れるし大変なのも事実だ。
挑戦して結果を出さないのも難しい。
たいがいは、思ったとおりのシナリオで勝つか、コテンパンにされるかだ。
勝てば官軍かと思いきや、母さんは「よかったわね~」と無関心、
負ければ、負けたで、「萌絵ちゃんってバカね~」と言って腹を抱えて笑うだけだ。
要は親にとっては、娘が野望を抱いて叶いっこないことに挑戦している姿を見るのがエンターテイメントなのであって、誰でも叶えられる夢なんかに挑戦する娘は面白くないと思っているのだ。彼女にとっては、金で買える親孝行は芸がないくらいにしか思っていないに違いない。
そして冒頭の
「私が活躍しているのが親孝行だと信じています」
という言葉に戻ると、これは本当に活躍しなくても良くて、自分が活躍しているんだと信じて浮かれているバカな娘の姿を見ればバカな娘を産んだ親は満足だという意味なのです。