森瑶子という作家に、母子ともにハマった時期がありました。
彼女のオシャレな恋愛観に、りぼんやなかよし等の少女漫画など青臭いと思った小学生でありました。
母はというと、森瑶子の描くミステリアスな女に憧れ、自らをあまり語らぬミステリアスな女をむやみやたらに演じてみては、専業主婦の退屈を凌いでいた。因みに、彼女は演じる以前から、十分にナゾな人だった。
さて、この森瑶子さんだが、彼女は色んな男から、「彼女は、黒いドレスの似合う痩せぎすの女」と言われると自慢し、モテる彼女はどんな美女なのだろうと憧れを抱いていた。
ある日、彼女の写真を見ることがあって、非常に驚いた。
黒いドレスの似合う痩せぎすな女
どころか、頭にターバン巻いた宜保愛子みたいな写真が掲載されていたのである。黒いドレスの似合う痩せぎすな女を求め、写真をくまなく探したが、さような女はどこにもいなかった。
子供ゴコロに衝撃を受け、そのまま森鷗外にすがりついたことを覚えている。
大人になって、恋愛をする頃になると、自分は多くを語らないミステリアスな女どころか、私生活までネタにするブロガーになった。
ただし、謎の無いように語れば語る程、人々は誤解し、気が付けばミステリアスな女と業界で呼ばれるようになった。
私は、黒いドレスも似合わない脱ぎ太りの女だ。
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私は黒いドレスの似合う痩せぎすの女
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