あれは5年前だ。
マイケルとの出会い。
福島原発事故、津波被害が遭ったというのに、日本の技術が遅れている為に高解像度動画はリアルタイムに送れないので事故の様子を知ることすらできないと知った。
更に、事故後の原発内部は高放射線下にあるので、放射線が電子にぶつかれば半導体チップがエラーを起こしてしまう。
そこで思い出したのが、マイケルだ。半導体大手Intelの元社長に紹介された天才エンジニア。彼は、耐放射線チップ設計を開発したので米軍に採用された。
原発事故の後、深田はすぐにマイケルに電話して投資の約束をした。それが全ての始まり。
マイケル・コー。この名前は、FBI被害者保護プログラムでFBIから与えられた名前で本当の名前ではない。
マイケルの会社は耐放射線チップ設計技術で台湾で株式公開を果たし、セルコンピューターと略式で呼ばれた技術の名前は一瞬世界に広まった。
直後、彼の台湾オフィスは中国スパイに襲撃され、馬英九によってマイケルは投獄された。獄中で暗殺されそうなところ、現台湾立法院長王金平に助けられて米国へ亡命。FBIの保護下に入ったのだ。
「だいたい、何故オフィスを襲撃されたの?」
「だからJSFさ。統合打撃型戦闘機の開発」
「マイケルのチップ設計が飛行機となんか関係ある?」
「いまや兵器は殆どチップ制御だ。俺は、無人機用のリアルタイム動画伝送システム設計と放射線や電磁パルス攻撃を受けても壊れないコンピューターの設計に携わっていた。中共はそれを台湾経由で盗んだミラージュの設計に足せば、自家製無人戦闘機の出来上がりだと踏んだのさ」
「それ、オーマイガー!な事態なんじゃないの!?」
「馬英九は今でも俺を抹殺したい。中国国民党の実態は上海黄金時代に栄えた暴力団青幇(チンパン)。青幇の資金源は諜報活動による情報と兵器売買だ。国民党は、フランス製のラファイエット級フリゲート艦の技術、戦闘機ミラージュ2000の技術を中国共産党に売って稼いできた。その極みで、馬英九は俺が開発したJSF用のチップ設計を中共に売った金で国民党序列5位から1位になり、総統選に勝ったんだ」
「兵器技術の密売って国際条約違反で捕まらないの?」
「捕まるわけないだろ。証拠も証人も全て隠滅された。ラファイエットとミラージュの兵器技術転売にはフランスの政治家と中国共産党幹部が関わっていて、フランスの諜報員から台湾の軍人まで国際裁判の証人14人は殺された。そのうち一人は東京で暗殺されてる」
「JSFは裁判にならなかったの?」
「陳水扁元総統が台湾国内でも国民党の軍事技術転売汚職事件の捜査を進めようとしていた」
「じゃあ、FBIの捜査にも協力してくれたのね」
「ところがだ、馬英九が検察を使って陳水扁を汚職で投獄させたその日、FBIの捜査は打ち切られて事件を知る者は全員口を封じられたという結末さ」
「オーマイガー!じゃあ、今、うちに厭がらせに来てるのは…」
「台湾青幇グループ、中国解放軍と国安工作員、中国工作員化した朝鮮系と国防動員法で絡め取られた中国に所在する日本の中小企業だな」
ゲゲゲ、もしかしたら、とんでもないのに投資してしまったのか。
JSF技術取得は中国最大のターゲットだ。
http://aviation-space-business.blogspot.jp/2012/02/f-35.html?m=1
続く