「ハッピークリスマス」
シリコンバレーにいるマイケルから電話があった。
「私はアンハッピーだけどね。マイケルは誰かと過ごすの?」
と深田は応える。
「俺に家族はいない」
「女はいないの?」
「お前な、髪も薄い、太った50代の俺に金が無ければ女が付いてくるはずないだろう」
マイケルは冷静に答えた。
「かしこっ。マイケル、さすがIQ200だね」
深田は心の底から感心した。
「冷静になれば、全てのイケてない男が理解できることだ。知能指数が低くても分かるはずだ」
マイケルは淡々と答えた。自己中心的な男だが、客観性は保っているらしい。
マイケルと会社を始めてから色んな男が寄ってくる。
ところが、最初は私を好き好き言っても、気が付けば男たちはマイケルに夢中だ。
もちろん、男たちはマイケルが好きなんじゃない。
マイケルの技術さえ盗めば金持ちになれるから無我夢中になるのだ。
彼の技術の前には愛もかすむ。
いや、金の前か。
それでは、男が女を愛せるようになるためには、いくら掴めば気が済むのだろうか。
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第32回戦追記 男はマイケルに夢中
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