今日はこんなことを思い出しました。
昔、付き合っていた人がいました。親は地元の名士で、かつ工場を経営していて、自分は海外留学して、跡継ぎ、お見合い結婚で子供ができたが離婚バツイチ、毎日のように親が別れたお嫁さんと再婚するようにゴマをすりにきたり、おばあさんがお小遣いを包んでご機嫌とりにくるような家庭で育った人でした。
知らずに付き合ったから、話を聴いてあまりにも浮世離れした話に驚いたよ。
彼はいつもコンプレックスで苦しんでいる割には、特に自分では何もしようとしない。
新しいことも、何も始めないし、毎日愚痴ばかりで・・親の文句ばかりなのに親のすねかじり。
付き合いが進んでいくうちに、彼のそういう色んな家庭の事情とか、甘ったれた性格に腹が立って、毎日のようにもっと自立するようにとか、もっと勉強して自分で新しいことを始めるように激励していたんだよね。
それでも彼は変わらない。
そのうち、色んなすれ違いで別れて、彼は親の言うとおりに元の奥さんと再婚したの。別れてから、どうしてこんなことになっちゃったの?って毎日泣いて暮らしたある日彼からメールが届きました。
「僕はね、サラブレッドのように走れと育てられたロバなんだ。足の遅いロバが、なぜかサラブレッドの両親から生まれて、のろのろ走る僕を周囲は軽蔑の目で見ていた。そんなこと分かってる。
でもね、僕はいつでも精一杯走っている。息が切れても『止まるな』と鞭打たれて、それでも傷だらけで走り続けているロバなんだ。
馬ですらない・・・」
そのメールの数行に、彼の人生の全てが書かれていた。
親からの期待、できて当然だと思っている親戚たち、跡継ぎなのに指示を軽んじる従業員たち、もちろん自分にそれだけの器や能力がないなんて、彼は自分で理解していた。
メールを読み終わって、私は彼を愛する資格が無かったともう一度泣いた。